LOGIN龍王ガルガンドルムの言葉により気付きを得たヴァルシュは滞在先の宿坊で懐かしき過去に想いを馳せていた。
宿坊は
シャーロットとバムロールの結婚の儀は明日に迫っている。
だが、ヴァルシュは既に覚悟を決めて決断を下した。 そこにはもう迷いはない。そんな中、テーブルに頬杖をつくヴァルシュが想い起こすのは遠い日の想い出。
※ ※ ※ 昼なお暗き大森林の中に、木々が切り拓かれた大きな広場が存在した。開拓されたとは言え、大地には花々が咲き乱れ、生命の息吹が芽吹いて緑で溢れている。
そこには2人の少年少女が短い草が繁茂した地面に腰を下ろしていた。 「ヴァル。もう泣きやんだら?」「だって……。とうさまのしゅぎょうがキツいんだよ」
赤髪の少年――ヴァルシュは一緒にいた幼馴染の少女に涙ながらに訴えていた。 如何に父との剣の鍛錬が苦行であるかを。 それを聞いた少女は眉をキリリと吊り上げて一喝する。 「ダメじゃない! そんなのじゃ!」「えぇ……」
「言ったじゃない! ヴァルは将来、まおう様におつかえしてささえるんでしょ?」
絹糸のようにさらさらな銀髪をツーサイドアップにした少女は仁王立ちすると腕を組んで叫ぶ。 彼女は目の前にいる少年がかつて目を輝かせて語った熱い思いを覚えていたのだ。ヴァルシュの夢は魔王に仕えることであった。
魔王の周囲には様々な種族から活躍する――それは即ち再び、戦乱の時代が訪れると言うことだ。
「そうだけどさ。さいきん思ったんだよ。まおう様ってつよいヤツがなるみたいなんだ」「それがどうかしたの?」
「だってつよいヤツだったらまもる必要ないじゃんか」
ヴァルシュは魔族が陥りがちの強くなければ魔王ではないと言う考えに憑りつかれていた。 そもそも魔族である以上、強くあれ!と言う言葉を強く信じているのだ。「そっか……? ん~そうなのかな~。よわいとなれないんじゃあ……」
泣き言を零してはいたものの、やはりヴァルシュは弱い魔王の存在など認められなかった。 少女の言葉にも納得できていない様子を見せている。そして腕を組んで唸り声を上げながら、強さについて考え込んでしまった。
押し黙ってしまったヴァルシュの様子を見て、少女は慌ててフォローを入れようと口を開いた。 「そ、そっか、でも"もしも"があるかもしれないよ? にんげんには強いのがいるって聞いたけど……」「あ、聞いたことある! ゆうしゃって言うらしい。にんげんがそう呼ぶみたいだ」
「ゆうしゃかー。なんか強そうなひびきがするね」
「そうなんだよ。だから……やっぱり強くならなきゃならないんだ!」
どうやら無事に精神の着地点を見つけたらしい。 ヴァルシュの頭の中では勇者から魔王を護る妄想が始まっていた。 虚空に目を向けて興奮気味に目を輝かせ、その端整な顔を紅潮させている。 「おおむかしのまおう様はゆうしゃと戦ったらしいよ」「へぇーどっちが勝ったのかしら?」
「ゆうしゃが勝ったって聞いたぜ?」
「まおう様はどーなったの?」
「ほろぼされて消滅したんだよ」
この辺りは魔族の子供なら誰しもが親から聞かされる話だ。 大昔のことはもちろん、直近では先代魔王と人間の勇者の一騎討ちの一節は有名なのである。 「え、でも今もまおう様いるしーまぞくの皆もいるじゃんかーどういうことなの?」「そんなの知らないよ。俺だって聞いただけだし」
人間の子供と変わらぬ「あたし? あたしはねーお嫁さん!」
「お嫁さん? そんなの誰にだってなれるよ」
「いいもん! あたしはあたしにしかなれないお嫁さんになるんだからッ!」
先程からヴァルシュの傍らで彼のお悩み相談に乗っていたのは、妖精族の少女にして幼馴染のシャーロットであった。 彼女は自分の夢を馬鹿にされたと思ったのか、プイッと顔を背けてツーンとした態度になる。 「ヴァルのばか! もう知らない!」 せっかく親身になってヴァルシュの話を聞いてあげていたのに自分の夢を馬鹿にされたことが気に入らなかったのだろう。 普段は温厚な彼女も思わず声を荒げて不機嫌モードだ。 急に態度が素気なくなったシャーロットに、ヴァルシュが「はえ? ヴァルがあたしをまもってくれるの?」
何やら軽くトリップしていたシャーロットが、驚きながらも慌てて聞き返した。 その顔は齢相応の「ホントにホント?」
「龍族ににごんはない!」
ヴァルシュはそう言うと右手を左胸に添えて大きな声で宣言した。 魔帝國デスペラントの騎士がする正式な敬礼だ。 「そぉ……ありがと。でも2人もまもるって大変そうだね」「うーん。まおう様がお嫁さんだったらいいのになぁ……」
他人事のように話すシャーロットの言葉に、ヴァルシュは半ば冗談のように言った。 当然、彼女もそんなことは真にも受けていないようだが、嬉しそうに表情を綻ばせている。 「あはははは♪ そんなことあり得ないよー」 そうやって2人は緑の風が吹く広場で笑い合った。 ――これはヴァルシュと後の魔王様の記憶の断片。シャーロットの魔王就任は決定的な状況である。 翌日に魔王の戴冠式を控え、すぐにでも妖精王バムロールを追い出して神星樹の王城に入ることは可能だ。 だが彼女は自宅でのんびりとした時間を過ごすことに決めていた。 いきなり窮屈な場所に閉じ込められるなど考えただけでゾッとする。「はぁ……やっぱり我が家は落ち着くわねー」 縁側でお茶をすするお婆ちゃんの如く、ソファに座ってコーヒーカップに口を付ける。 尊敬するルナも日当たりの良い庭を見ながら、緑茶なるものを呑むのが好きだと言っていたなと、シャーロットは懐かしい想い出に癒されていた。「シャーロット様、私に命じて頂ければコーヒーなどお淹れ致しますのに」「あーフェイト、いいのいいの。ここは自分ちなんだしー。自分で淹れるの好きだし」 パタパタと手を振って遠慮するもフェイトは何処か不満げだ。 何故か、現在この家にはフェイトとブラッドが当たり前のようにいた。 何でも大事が起きてはいけないからと言う話だが、大袈裟だろうにとシャーロットは気軽に考えている。 ちなみに2人には何度言っても座ろうとしないので、魔王(予定)権限で無理やり休ませるついでにコーヒーも振る舞っていた。「フェイト殿は秘書官故、コーヒーなど淹れられぬのでしょう」「何を言っている。私は何でもこなす。それが秘書官であり、シャーロット様のためなら尚更のことだ!」 ブラッドが煽るように皮肉っぽく告げると、フェイトが嫌悪感を露わにして反論する。 2人の様子を見ていると、バムロールの執務室での一件を思い出すが、これが相性と言う物なのか。 普段から冷静で何事にも動じない彼女しか見たことがなかったので、シャーロットとしては意外な一面を垣間見ることができて楽しいのだが。 2人が火花を散らしている隣で、シャーロットは特に気にすることもなくまったりと歴史の本のページを捲っていた。 別に心の底から嫌い合っているようでもなさそうなので、いがみ合うのも良いだろう。 その時、硬い木を叩く音がして全員の視線が玄関の扉へと集中する。 ブラッドを放置して、すかさずフェイトが扉へ向かうと誰何の声を上げた。 返ってきたのは聞き慣れた声。 シャーロットはフェイトに目で頷いて見せると、来客を招き入れた。「よう、シャル。
シャーロットはフェイトとブラッド、そして護衛を引き連れ、憂いを帯びた表情で妖精王の執務室へと向かう。 あの下卑た新王バムロールと顔を合わせるのは不愉快以外の何者でもないし、あんなことを仕出かした以上、何を言われるのか不安ではある。 シャーロットは自身に明確な悪意が向けられた経験がほとんどない。 バムロールやエリーゼたちの真意を思い出すと、不意に胸が押し潰されそうになる時がある。 だがそれだけだ。 自分の道は自分が決めると啖呵を切った以上、シャーロットの心は自身が考えていたほど揺らぐことはなかった。 そんな様子を察してフェイトが労わりの言葉を掛ける。 「シャーロット様、ご心配には及ばないでしょう。恐らくあの男は現実を受け止めきれていないでしょうが」「あーね。思いきりぶん殴ったからねー」「くくく……私も是非その場に居合わせたかったものです」 婚姻の儀のことを思い出して顔を赤く染め、何処か遠い目になるシャーロット。 それを見てブラッドは含み笑いを隠そうともせずに、滑稽だとばかりに言ってのけた。 「しっかしマウントねー。それってどーすんの? またぶん殴ればいいの?」「まぁ私にお任せください。シャーロット様は堂々となさっていて下されば良いのです」 シャーロットが左拳を硬く握りしめながら発した物騒な言葉に、フェイトは今まで見せたこともないような邪悪な笑みを浮かべながら言った。 そして到着した妖精王の執務室。 取り敢えずノックしかけたシャーロットであったが、気まずさが先に立って踏ん切りがつかない。 フェイトはそんなシャーロットを微笑ましく見守りつつ全く躊躇うことなく扉を叩いた。 シャーロットよりも若いのに大したものだ。 執務室から機嫌の良い声が聞こえたかと思うと、勢いよく扉が開かれる。 それを見てシャーロットが意外そうな表情になってしまった。 予想外の人物が目の前に立っていたことに少しばかり驚いたためだ。 なんと妖精王バムロールが一同を出迎えたのだ。 王自ら出迎えるなど普通はあり得ないがパフォーマンスであろう。 「シャーロット! よくぞ来てくれた! 式は中断となったが緊急事態だ。仕方なかろう! 親睦を深めたくてな。ささ、私の部屋へ入ってくれ」 どんな
「ええーッ!? あたしが次期魔王に!?」 リンレイスから衝撃の言葉を告げられたシャーロットの叫び声が室内に木霊した。 魔王イルビゾン封印の報と自らの左手の甲に発現した魔呪刻印――次々と起こる予期せぬ出来事に、彼女の頭は大混乱に陥っていた。 神話や歴史書を読み込んでいるシャーロットは当然、その意味を知っているが、それが自身に降りかかるなど考えてもみなかったのだ。 シャーロット自身、バムロールには怒りの鉄拳を喰らわせるつもりだったのだが、何故か颯爽とヴァルシュが助けに来てくれた。 まるでお伽噺の中の騎士様である。 しかもアレはお姫様抱っこと言う神聖なモノであるはず。 色々と起こりすぎて正直、頭が沸騰しそうな勢いである。 「落ち着きなさい。魔帝國の中で魔呪刻印が発現したのは貴女だけなの。恐らくだけれど……今のところ、他の魔族に発現したと言う話は聞かないわ」 素っ頓狂な声を上げて思わず立ち上がったシャーロットをリンレイスが軽く窘める。 彼女はシャーロットの自宅のリビングでソファーに座っていた。 そしてため息を吐きつつ、シャーロットの目を真っ向から見つめて諭すように告げる。 「わたくしは貴女にとって良い話だと考えているわ。そしてそれはシャーロット、貴女を忌々しい呪縛から解放することを意味します」「でも……でも、あたしには他種族の方々のような力はないんだが?……じゃなくてありませんよ!?」 リンレイスが邪悪な笑みを浮かべているのが気になるところだが、今はそんなことまで考えている場合ではない。 齢が304を数え、在位227年にも及んだリンレイスに対して、シャーロットはまだ18歳の若造だ。 一族をまとめるのも難しそうなのに、魔族全体を統括するのは更に難しいと言わざるを得ない。 その不安故に無意識の内に、魔呪刻印を持つ左手は強く握りしめられていた。 「確かに我々、妖精族は力はありません。ですが、その魔力と霊気は魔王軍の中でもトップクラス。それに、戦争は力が全てではありません」 結婚の儀のことを思い出すシャーロットに、リンレイスは懇々と言い聞かせる。 政治などに疎い素人を
――リーン・フィアの首都フィアヘイム。 神星樹城の大会議室は、喧騒に包まれていた。 円卓には12の種族の長やその代理の者が座っている。 平時であれば新妖精王の戴冠式のために各族長が訪れていたはずなのだが現在は有事である。 種族で最も強く、一族を纏める者――族長の多くが前線に赴いているのは当然の流れであった。 それに代理の者すら派遣できずにいる種族がいるほどの激戦区も存在している。 「慣例に従って粛々と新たな魔王を決めるべきだろう」 今日何度目かの同じセリフを吐いたのは、死霊族の長クルスフィリアであった。 「そうは言うが我が虎狼族のガルビス様は前線のギーズデン砦で、更には鬼人族のキーラ様は東のケイトス峡谷で人間共と交戦中だ! 他の族長も散り散りになっているんだぞッ!」 虎狼族の族長代理の男が、己の不利をここぞとばかりに喚きたてた。 勇者一行に魔帝國の帝都イヴィルまで攻め込まれ、魔王を封印された挙句、攻勢を受けて各種族は地方で分断されている。 クルスフィリアの意見に応えたのは、不死族のナンバー2だった者であった。 「そんなことは理解している。だが、不死の王であるイルビゾン様が封印された今、直ちに新魔王を決めるのが何より先決のはず」「ガルビス殿やキーラ殿は魔呪刻印が出ていないのであろう?」「その他の族長に刻印が発現したという話も聞かぬな」「まさか封印された場合は、新たな刻印は現れないのか?」 そんな紛糾する会議の中で、『元』妖精王リンレイスが静かに挙手し立ち上がった。 議長を務めていた龍王ガルガンドルムは、すぐに騒いでいた者たちを黙らせる。 騒ぎ立てていた者たちの視線が集中するが、彼女は全く動ずることがない。 一同が静まるのを待って、彼女は穏やかな口調で言葉を発した。 喧嘩腰の他種族の者とは違って物腰柔らかで、あくまで自然体、余裕さえ感じられる。 「我らが妖精族の1人に魔呪刻印が発現致しましたわ」 それを聞いて慌て始めたのは、この場にいた族長たちであった。 魔呪刻印は正統なる魔王の証。 「何ッ!? それは間違いないのか?」「刻印が現れたのであれば是非もなし」「惰弱な妖精族に|魔呪刻印《インキューズメ
デスペラント大陸。 人間や亜人からは魔大陸と呼ばれている場所の南方に、その国家は存在した。 中央アルガノン大陸有数の強国であり、最大の版図を誇るエルメティア帝國である。 現在でこそ落ち着いているが、最盛期では12の騎士団が周辺の8か国を滅ぼしたほどだ。 彼の国は人間列強国7か国同盟軍の盟主であり、亜人族と連合を組んで、魔族領――デスペラント魔帝國へと侵攻していた。 ここは天まで伸びようかと言う帝城の謁見の間。 広々とした室内に堂々と鎮座している玉座に腰を降ろすのは、帝國の第1皇子であり、皇太子たるガイナス・エル・ティア・クラウレッツ。 彼は昨夜見た夢についてボーット考えを巡らせていた。 幼少の頃の温かい想い出だ。 夢に出てきた少女の名はシャーロット。 妖精族であり、元婚約者でもある。 11年前の戦争終結のために、当時の魔王の養子としてシャーロットが迎えられ、そしてガイナスが彼女と婚約関係を結んだと言う経緯がある。 「殿下! ガイナス皇太子殿下ッ!!」 そこへガイナスの思考を打ち破る大声が、耳に突き刺さる。 突如として重厚な扉が力強く開かれて、駆け込んできた者がいた。 とても頑強な造りになっている上に、重量のある扉を容易く押し開く辺り大した膂力の持ち主である。 ガイナスはシャーロットとの想い出をぶち壊した大将軍に恨みがましい視線を送る。 取り乱しながら足早に歩いて来る彼に、ガイナスは怪訝な目を向ける。 だが、礼を失してしまうほどの我の忘れように、ガイナスもかなりの重大事だと理解して気持ちを切り替え、僅かに心を引き締めた。 「落ち着け、リシャール。貴様らしくもない」「はッ……申し訳ございませぬ……私としたことが取り乱しました。お見苦しいところをお見せして――」「良いッ! そんなことより余程のことがあったのだろう? 貴様があのような態度をするほどだからな」 慌てて謝罪の言葉を口にしようとした大将軍リシャールを制して、ガイナスが問い質した。 切れ長の目尻を吊り上げて、鋭い視線を向けて。 リシャールは、深呼吸をすると先程までとは打って変わった様子で粛々と報告を始める。 「勇者殿が、魔王イルビゾンを封印することに成功したのですが……」「ほう! そ
運命は無情であり、無常である。 今日と言うこの日がシャーロットにとってどのような日になるのか、彼女には知る由もない。 執り行われるのは妖精王リンレイスの譲位、つまり新しい妖精王の戴冠式。 そして引き続き、新王となるバムロールとシャーロットの結婚の儀へと移る。 妖精族のみならず、後の『魔王伝』には多くの証言が書き記されることとなる。 目撃者たちはその目を輝かせながら口々に語った。 「いやな。俺もあんなことになるとは思ってもみなかった。まさに前代未聞って奴さ」「私もあんな抒情詩みたいな体験をしてみたかったわぁ……ああ、なんて素敵なの……」「あれは奇跡と言っていい。そう、全ては決まっていたんだよ。宿命ってことだ」 ――― シャーロットは新婦の控室にて、来たるべき未来へ備えていた。 色とりどりの花々で飾り付けられ、華やぐ室内は貴族たちからの贈答品や御祝花で溢れていた。 「甘ったるい香り……花って言うのは自然に咲き乱れるからこそいいんじゃない」 背中が大きく開いた真っ白な純白のドレスを身に纏い、木の椅子に腰を落ち着けている。 シャーロットの背中の羽は、風もないのにゆらゆらと揺らめいていた。 運命の岐路。 だが彼女に動揺する気配は全く見られない。 落ち着き払って一点を集中して見つめている。 「シャーロット様、とてもお美しいですわよ」「そう。ありがとう」 シャーロットの衣装を整えた妖精族の女性は、嬉しそうに目を細めて褒め称えるが、その心中などとても推し測れるはずがない。 彼女が悪い訳ではない。なにせ相手は妖精王なのだ。 幸せを信じて疑っていない様子がシャーロットの身にひしひしと伝わってくる。 「間もなく戴冠式が行われます。もうしばらくお待ち下さい!」「そうね。あたしも見届けなきゃね」 儀式の開始を告げに来た男性の言葉を聞いて、シャーロットが徐に立ち上がる。 それを聞いて慌てたのは世話人たちだ。 シャーロットの言動に対して何を思ったのかは知らないが、メイクや衣装などが乱れるからと止めに入る。 彼らの制止を振り切って、シャーロットは戴冠式が執り行われる大式典場の袖に足を向けた。 シャーロットが裏手か







